上野恩賜公園(東京都台東区)に掲示されていた『藝「大」コレクション』の看板。本展チラシの表紙と同じデザインである。看板向かって中段左に見える木の色の作品が平櫛田中『活人箭』。平櫛田中の作品を観たくて本展に足を運んだ。素晴らしい時間だった。

展覧会【藝「大」コレクション パンドラの箱が開いた!】を観た 2時間では足らない(東京藝術大学美術館:東京都台東区)2017年夏

この記事の概要

平櫛田中があるから行け!と思った本展

上野恩賜公園(東京都台東区)に掲示されていた『藝「大」コレクション』の看板。本展チラシの表紙と同じデザインである。看板向かって中段左に見える木の色の作品が平櫛田中『活人箭』。平櫛田中の作品を観たくて本展に足を運んだ。素晴らしい時間だった。
上野恩賜公園(東京都台東区)に掲示されていた『藝「大」コレクション』の看板。本展チラシの表紙と同じデザインである。看板向かって中段左に見える木の色の作品が平櫛田中『活人箭』。平櫛田中の作品を観たくて本展に足を運んだ。素晴らしい時間だった。

 

たまたま手に取った本展チラシで、平櫛田中(ひらくし でんちゅう)の作品が出展されることを知った。

『活人箭』(師岡倉天心や藝大とのやり取り、作品の元の話も興味深い)

『禾山笑』(豪快な笑い顔を四方八方から見たくなる)

直感でこれだ、行け!と思った本展は、やはり良かった。

本記事参考サイト:小平市平櫛田中彫刻美術館

  • 備考:平櫛田中が晩年、亡くなるまで過ごした自宅がこの美術館の一部になっています。
  • サイト管理者:東京都小平市
  • サイトアドレス:2017年8月25日現在(リンク設定の考え方について詳細不明のためリンク設定をしない)
    http://denchu-museum.jp/

本記事参考サイト:田中美術館 | 井原市

  • 備考:岡山県井原市は、彫刻家・平櫛田中が生まれた場所です。
  • サイト管理者:岡山県井原市
  • サイトアドレス:2017年8月25日現在(事後連絡を求めているためリンク設定をしない)
    http://www.city.ibara.okayama.jp/denchu_museum/

 

昨年2016年の今頃、本展と同じ会場で『平櫛田中コレクション展』が開催されていたことを初めて知った。その展覧会では併せて東京藝術大学の根付コレクションも出展されたとのことだから、その時に知っていれば、喜んで会場へ足を運んでいたであろう。

行くこと叶わず残念だったが、本展『藝「大」コレクション』で平櫛田中の作品を自分の目で見ることができたのだから良かったのだ。今回はたまたまの縁を活かせたではないか。

本記事参考サイト:平櫛田中コレクション展

  • 備考:『平櫛田中コレクション展』は2016年7月5日-8月7日、東京藝術大学美術館(東京・上野)にて開催されました。公式サイトで見られる『兎の親子』の根付が可愛らしいです。
  • サイト管理者:東京藝術大学
  • サイトアドレス:2017年8月25日現在
    http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2016/denchu2016/denchu2016_ja.htm

 

東京藝術大学(東京都台東区)の美術学部の正面出入口。この真向かいに同大学の音楽学部がある。写真向かって右手にある建物が東京藝術大学美術館である。
東京藝術大学(東京都台東区)の美術学部の正面出入口。この真向かいに同大学の音楽学部がある。写真向かって右手にある建物が東京藝術大学美術館である。

 

私にとって平櫛田中は、失礼ながら、なぜ名前が『たなか』なのか、というところから始まっている。『ひらくし』すら読めなかった。

『でんちゅう』と読めるようになったのは、そして彼の素晴らしい作品を知ることができたのはテレビ番組『美の巨人たち』のおかげだ。

2007年1月20日土曜日に放送されたとのこと。十年一昔。バックナンバーとして本回『平櫛田中「鏡獅子」』のページを削除せずに公式サイトに保存しているテレビ東京、『美の巨人たち』スタッフほか関係者も素晴らしい。

なお平櫛田中はその本名を田中倬太郎といい、平櫛家の養子となった後に『田中』と号したとのこと。

本記事参考サイト:KIRIN~美の巨人たち~ 公式サイトにおける、バックナンバー『平櫛田中「鏡獅子」』

  • サイト管理者:テレビ東京
  • サイトアドレス:2017年8月25日現在
    http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/070120/

 

自画像、現代に生きる作家の作品

東京藝術大学(東京都台東区)の美術学部の正面出入口。金属製の各文字が壁に貼り付けられて『東京藝術大学』と表示されている。真向かいにある音楽学部のそれとは趣きが異なる。
東京藝術大学(東京都台東区)の美術学部の正面出入口。金属製の各文字が壁に貼り付けられて『東京藝術大学』と表示されている。真向かいにある音楽学部のそれとは趣きが異なる。

 

現代作家の自画像も良かった。

『自』とは何かを考えさせられる。

自画像と言えば、顔を中心とした人の上半身を疑いもなく頭に思い浮かべていたが、『自』であるわけだから、そうでなくても構わないわけだ。

その中では、初めて知った作家、冨谷悦子が特に印象深い。

別の作者の携帯電話を使用した『自画像』も面白かった。これも確かに『自』だ。

 

少なからずの人が足を止めていた、町田美菜穂『首都っ娘』。

本作品のある会場に入った際は聞こえてくる音が耳障りで嫌な思いをしたが、その音を発していた本作品に近づいてみるとその理由が分かった。面白い。次のイベントがあったのでじっくり観ることができず残念だった。

 

この内容で2時間では足らず、一般800円(高校・大学生500円)では安い

東京藝術大学(東京都台東区)。昔使っていた学名の看板であろうか。詳細不明。同じような看板は現在音楽学部にて使われている。北に東京国立博物館黒田記念館、東に京成電鉄博物館動物園駅(2004年に廃止された)、南に旧東京音楽大学奏楽堂の各所がある十字路の西側にある。
東京藝術大学(東京都台東区)。昔使っていた学名の看板であろうか。詳細不明。同じような看板は現在音楽学部にて使われている。北に東京国立博物館黒田記念館、東に京成電鉄博物館動物園駅(2004年に廃止された)、南に旧東京音楽大学奏楽堂の各所がある十字路の西側にある。

 

週末土曜日に客数はほどほどで、会場が客で溢れかえっているわけではないからゆっくりと観られることも良い。余計に2時間では足りないそのような雰囲気が素晴らしい。

客の質も良かった。自分だけがいい思いをしようと見受けられる客、例えば見ている人の前を横切ったりする奴、大声で話し合っている奴らは、皆無であった。

 

会場にて無料で入手できる『出品リスト』によると、本展の概要は次のとおりである。なおこの『出品リスト』は本展の公式サイトページ(東京藝術大学公式サイト内)でもPDFファイル版をダウンロードできる。

  • 名品編
  • パンドラの箱
  • 美校の仏教彫刻コレクション
  • 「平櫛田中コレクション」展示活動の歩みと関連作品
  • 卒業制作-作家の原点
  • 現代作家の若き日の自画像
  • 真似から学ぶ、比べて学ぶ
  • 石膏原型一挙開催
  • 藝大コレクションの修復-近年の取り組み
  • 新収蔵品紹介
  • 藤田嗣治資料
  • 記録と制作-ガラス乾板・紙焼き写真資料から見る東京美術学校

 

以下、私が特に印象に残った作品をメモする。各作品の情報は『出品リスト』による。

名品編

『蜀江錦』『広東裂』『広東錦』

色がきれい。見事な赤色の鮮やかさ。ボロボロだけれど色だけ見れば、さほど時代を感じさせない。

  • 作家名:空欄
  • 作品名:『蜀江錦』『広東裂』『広東錦』
  • 制作年代:いずれも飛鳥時代
  • 材料・技法:いずれも絹
  • 指定:国指定重要文化財

『浄瑠璃寺吉祥天厨子絵(後壁)』

本展チラシに掲載されている。

  • 作家名:空欄
  • 作品名:『浄瑠璃寺吉祥天厨子絵(後壁)』
  • 制作年代:鎌倉時代
  • 材料・技法:板絵彩色
  • 指定:国指定重要文化財

高橋由一『美人(花魁)』

高橋由一が有名な『鮭』を制作する5年ほど前の作品。

本作品が展示されていた場所には、原田直次郎『靴屋の親爺』、黒田清輝『婦人像(厨房)』浅井忠『収穫』があって、いずれも素晴らしいものと思えて良かったが、私にはこの高橋由一『美人(花魁)』が一際輝いて見えた。

私にとっては美人には思えない顔だが、彼女の着飾った華やかさと背景の憂鬱さが彼女の存在そのものを美人とさせているように思えてならない。

  • 作家名:高橋由一
  • 作品名:『美人(花魁)』
  • 制作年代:明治5年
  • 材料・技法:カンバス 油彩
  • 指定:国指定重要文化財

鏑木清方『一葉』

鏑木清方による歴史上の人物の作品や樋口一葉自身にあまり興味関心がないので、本作品に惹かれたことはどうしたことか。美人画だけではない、鏑木清方の人物画に興味関心がもてる良い機会になるかもしれない。

  • 作家名:鏑木清方
  • 作品名:『一葉』
  • 制作年代:昭和15年
  • 材料・技法:絹本彩色
  • 指定:なし

小倉遊亀『径』

本展チラシに掲載されている。

本展の少し前に東京国立近代美術館(東京・九段下)の常設展で小倉遊亀『浴女 その一』『浴女 そのニ』を観たこともあって、本作品は本展の楽しみの一つだった。

この作品をまるで独り占めしたかのような、ゆっくりとじっくりと見られる空間であったことに感謝したい。近くで見れば、こちらはサラッとした質感であちらはザラッとしていると分かり、遠くから見れば、仲の良い母、娘、犬が暑い中を一つのところに向かっているのではないか、そうした一情景を思い浮かべることができる。

この作品を観たご婦人が「やっぱり良いわねえ」と言っていた。そのとおりだ。

  • 作家名:小倉遊亀
  • 作品名:『径』
  • 制作年代:昭和41年
  • 材料・技法:板 彩色
  • 指定:なし

 

パンドラの箱

『彩文幾何学文ピュクシス』

作品を目にしただけでは、いつごろの作品かは分からない。驚きだ。

  • 作家名:空欄
  • 作品名:『彩文幾何学文ピュクシス』
  • 制作年代:前9-前8世紀
  • 材料・技法:粘土
  • 指定:なし

 

「平櫛田中コレクション」展示活動の歩みと関連作品

田中太郎『ないしょう話』

  • 作家名:田中太郎
  • 作品名:『ないしょう話』
  • 制作年代:昭和34年
  • 材料・技法:木 淡彩
  • 指定:なし

平櫛田中『禾山笑』

『禾山』は臨済宗の僧侶・西山禾山(にしやま かさん。またはにしやま かざん)(1838 – 1917)のこと。彼は平櫛田中に思想的な影響を与えた。彼が口を大きく開けて笑っている姿が本作品である。

  • 作家名:平櫛田中
  • 作品名:『禾山笑』
  • 制作年代:大正3年
  • 材料・技法:木
  • 指定:なし

平櫛田中『活人箭』

本展チラシに掲載されている。

本作品は臨済宗の僧侶・西山禾山に教えられた故事に題材にして作られたもの。

  • 作家名:平櫛田中
  • 作品名:『活人箭』
  • 制作年代:明治41年原型製作(石膏)、昭和37年木彫で再現
  • 材料・技法:上記による
  • 指定:なし

 

卒業制作-作家の原点

高山辰雄『砂丘』

大きな作品。砂丘に腰を落としこちらを見ている女学生の顔が女優の杏に似ている。

  • 作家名:高山辰雄
  • 作品名:『砂丘』
  • 制作年代:昭和11年
  • 材料・技法:絹本彩色
  • 指定:なし

白滝幾之助『稽古』

初めて知った洋画家。女の子が三味線の稽古をつけてもらっている。周りに同年代の女の子が数名いる。

東京の下町の風俗を題材にした本作品。プライバシーも何もあったもんじゃなかっただろうが、このような雰囲気を嫌だとも思わない。柔らかく品がある。

  • 作家名:白滝幾之助
  • 作品名:『稽古』
  • 制作年代:明治30年
  • 材料・技法:カンバス 油彩
  • 指定:なし

板谷波山『元禄美人像』

  • 作家名:板谷波山
  • 作品名:『元禄美人像』
  • 制作年代:明治27年
  • 材料・技法:木
  • 指定:なし

石田英一『銅製群兎置物』

  • 作家名:石田英一
  • 作品名:『銅製群兎置物』
  • 制作年代:明治33年
  • 材料・技法:銅 鍛造 付属:紫壇製台
  • 指定:なし

吉田五十八『レクチュアホール』

  • 作家名:吉田五十八
  • 作品名:『レクチュアホール』
  • 制作年代:大正12年
  • 材料・技法:紙 インク 一部淡彩
  • 指定:なし

前沢幸恵『憧憬』

  • 作家名:前沢幸恵
  • 作品名:『憧憬』
  • 制作年代:平成23年
  • 材料・技法:陶土(赤土)タタラ成形による貼り合わせ 赤土に白化粧をかける(粉引)還元焔落とし焼成
  • 指定:なし

町田美菜穂『首都っ娘-首都高速道路擬人化プロジェクト』

  • 作家名:町田美菜穂
  • 作品名:『首都っ娘-首都高速道路擬人化プロジェクト』
  • 制作年代:平成27年
  • 材料・技法:ミクストメディア
  • 指定:なし

 

現代作家の若き日の自画像

村上隆『自画像』

本展チラシに掲載されている。

  • 作家名:村上隆
  • 作品名:『自画像』
  • 制作年代:昭和61年
  • 材料・技法:紙本彩色
  • 指定:なし

山口晃『自画像』

本展チラシに掲載されている。

  • 作家名:山口晃
  • 作品名:『自画像』
  • 制作年代:平成6年
  • 材料・技法:カンバス 油彩
  • 指定:なし

松井冬子『自画像』

本展チラシに掲載されている。

  • 作家名:松井冬子
  • 作品名:『自画像』
  • 制作年代:平成14年
  • 材料・技法:紙本彩色
  • 指定:なし

冨谷悦子『自画像』

  • 作家名:冨谷悦子
  • 作品名:『自画像』
  • 制作年代:平成17年
  • 材料・技法:エッチング
  • 指定:なし

 

石膏原型一挙開催

ヴィンチェンツォ・ラグーザ『日本夫人』

ブロンズの本作品の乳首の部分の色が他の部分と違って見えたのは、私のすけべ心がそうさせたのかどうなのか。

  • 作家名:ヴィンチェンツォ・ラグーザ
  • 作品名:『日本夫人』
  • 制作年代:明治13年(石膏)、昭和33年鋳造(ブロンズ)
  • 材料・技法:上記による
  • 指定:石膏の作品について、国指定重要文化財

 

藝大コレクションの修復-近年の取り組み

葛揆一郎『外科手術』

  • 作家名:葛揆一郎
  • 作品名:『外科手術』
  • 制作年代:明治37年
  • 材料・技法:絹本彩色
  • 指定:なし

 

私は本展会場にて初めて知ったが、上村松園『序の舞』を所有者である東京藝術大学が修理をしている。一般公開は来年2018年春が予定されている。

同名の映画(監督:中島貞夫、脚本:松田寛夫、音楽:黛敏郎、主演:名取裕子)で上村松園、『序の舞』を知ったのが20年ほど前、テレビ地上波の年末年始の深夜放送であったか。未だに現物を観たことがないので、これも『行け!』という縁なのだろう。

 

展覧会『藝「大」コレクション パンドラの箱が開いた!』の概要

  • 展覧会『藝「大」コレクション パンドラの箱が開いた!』
  • 日時:2017年7月11日ー年8月6日、2017年8月11日ー9月10日 10時から17時まで(入場は16時30分まで)。ただし7月11日は18時まで(入場は17時30分まで)。
  • 休館日は月曜日、7月18日。ただし7月17日は開館。
  • 場所:東京藝術大学美術館(東京都台東区)
  • 当日料金:一般800円、大学生・高校生500円。中学生以下は無料。障害者手帳の提示者、およびその付添者1名は無料。

本記事参考サイト:東京藝術大学創立130周年記念特別展 藝「大」コレクション パンドラの箱が開いた!

  • サイト管理者:東京藝術大学
  • サイトアドレス:2017年8月25日現在
    http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2017/collection17/collection17_ja.htm
東京藝術大学(東京都台東区)の芸術学部の構内に設置された展覧会『藝「大」コレクション』ほかのポスター。
東京藝術大学(東京都台東区)の芸術学部の構内に設置された展覧会『藝「大」コレクション』ほかのポスター。

 

東京藝術大学美術館の概要

  • 名称:東京藝術大学美術館
  • 住所:〒110-8714 東京都台東区上野公園12-8
  • 交通アクセス1:JR上野駅 公園口より徒歩10分
  • 交通アクセス2:東京メトロ千代田線根津駅 1番出口より徒歩10分
  • 交通アクセス3:JR鶯谷駅 南口より徒歩12分
  • 交通アクセス4:京成電鉄京成上野駅 公園口より徒歩15分
  • 交通アクセス5:東京メトロ銀座線、日比谷線上野駅 7番出口より徒歩15分
  • 地図:【Google Map】https://goo.gl/maps/vJP1fj4ZT682

本記事関連サイト:東京藝術大学大学美術館 The University Art Museum, Tokyo University of the Arts

  • サイト管理者:東京藝術大学
  • サイトアドレス:2017年8月25日現在
    http://www.geidai.ac.jp/museum/
東京藝術大学美術館(東京都台東区)の出入口にある看板とシンボルマーク。
東京藝術大学美術館(東京都台東区)の出入口にある看板とシンボルマーク。

 

以上

  • 記事名:展覧会【藝「大」コレクション パンドラの箱が開いた!】を観た 2時間では足らない(東京藝術大学美術館:東京都台東区)2017年夏
  • 記事更新日:★2017年8月2日、2017年8月10日、2017年8月25日
  • 記事出典元:★Twitter 山上真@makotomys、山上真オフィシャルサイト

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