【飯守泰次郎】指揮・東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団『モーツァルト レクイエム』を聴いた 2017年夏

ティアラこうとうには2度目の来館

ティアラこうとう(東京・住吉)。正式名称は江東区江東公会堂である。
ティアラこうとう(東京・住吉)。正式名称は江東区江東公会堂である。

 

2年前の2015年8月1日に行われた『真夏の第九 こうとう2015』以来の来館。

今回と同じで、その際の演奏は東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団であったが、指揮は阿部加奈子。思いもよらず第2楽章で眠ってしまったが、第4楽章の声楽、特に合唱の場面での高揚感は素晴らしかった。彼女が合唱指導者としての一面をもっているようだからその良さがを感じることができたのではないか。

 

その際、舞台に出てくる際の演奏家の一人の振る舞いに不快感を覚えたが(今は東京シティに在籍していない)、客のマナーにも不快感を覚えた。

客席に緊張感がなく、あちらこちらから音がする。第2楽章が終わってから会場に入る爺もいた。大曲、有名曲がもたらす興奮ゆえなのか、場所柄なのか、合唱団が必要な曲で公演当事者が多数だからなのか、偶然なのかは分からない。

 

2017年8月20日 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団公演 ティアラこうとう前の、公演前の様子
2017年8月20日 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団公演 ティアラこうとう前の、公演前の様子

 

今回の公演の客のマナーも悪い、不快だった。

演奏開始直前まで席を行き来する子供。

客が隣にいるのに空いているイスの上に自分や旦那のカバンを置くことに何ら罪悪感を感じていなさそう女。

遅刻者も多く、公演前半の第2楽章から会場に入ってくる奴もいて、コンサートマスターの目がそちらに向いていた。ただこれは、会場の判断で公演後半からの入場にしてほしかったが。

 

それでも公演前半はほとんど、客席から音はしなかったから良かった。

これが続けば良かったのだけれど、モーツァルト『レクイエム』をお目当てにする人が多く人が増えたのか、公演後半は咳やビニール袋の擦れる音が増えた。すぐさま係が飛んでいって制していたが、演奏終了直後には舞台にスマートフォンを向けている奴もいた。

 

客席数が1200ほどの中程度の大きさのホールが満席にならなかったにもかかわらず、残念、不愉快な客席の雰囲気だった。

私にとって馴染みのない場所で、2度も、客の関係で不愉快なことがあると、同じことは3度あるのではないかと疑ってしまう。公演会場との相性というものがあるのかもしれない。ティアラこうとうそのものが悪いとは思わず、猿江恩賜公園もあって良い場所なのだけれど。

 

モーツァルト『交響曲第38番 プラハ』

2017年8月20日 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団公演 ティアラこうとう(東京・住吉)会場外に掲示されたポスター
2017年8月20日 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団公演 ティアラこうとう(東京・住吉)会場外に掲示されたポスター

 

この曲を目当てにすることはないので、モーツァルト『レクイエム』と一緒に聴いてこの曲が好きになれば儲けものだと思っていた。

演奏開始直後に『今日は良い演奏会になりそうだ』と思ったことは良かったのだが、10分ほどで眠くなってしまった。

本当に眠くて、演奏終了後の休憩時間では何度もあくびをしてしまった。余裕のある15時開始だったせいもあるかもしれないが、これは私が苦手なモーツァルトとスローテンポの飯守泰次郎の相乗効果だと思う。繰り返しが多かったこともあろう。

仕方がない。

 

2017年8月20日 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団公演 ティアラこうとう出入口の、公演前の様子
2017年8月20日 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団公演 ティアラこうとう出入口の、公演前の様子

 

モーツァルト『レクイエム』

2017年8月20日 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団公演 ティアラこうとう前の、公演後の様子。2つの超高層ビル。向かって左がサンライズ・タワー、右がサンセット・タワー。2つ併せて『ザ・ガーデンタワーズ』。いずれも地上39階、地下2階建。
2017年8月20日 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団公演 ティアラこうとう前の、公演後の様子。2つの超高層ビル。向かって左がサンライズ・タワー、右がサンセット・タワー。2つ併せて『ザ・ガーデンタワーズ』。いずれも地上39階、地下2階建。

 

本公演は前半も後半もブラボーは飛ばなかった。後半にフライング気味の拍手があったが許容範囲で、眠ることなく良い時間を過ごすことができた。

合唱は男性陣が2,3名の空席があった。どうなることかと思う出だしであったが結局は問題なく。特に向かって右側の女性陣から良い声が聴こえてきた。

2015年の『真夏の第九』の時も合唱が良かったと思ったが、今回も同じ思い。合唱は臨時編成であるが、指導陣(合唱指揮:四野見和敏、ヴォイストレーナー:荒井香織ほか)の良さとメンバーの良さが表れているということか。

演奏終了直後、合唱指揮者は合唱団に向けて何度も、両親指を立てて笑顔を送っていたが、私も同じ思いで拍手を送っていた。

来年の『真夏のレクイエム こうとう2018』(2018年8月19日日曜日、15時開演)の演目はブラームス『ドイツ・レクイエム』。指揮は今回と同じく飯守泰次郎。合唱団160名の募集期間は本年9月10日から9月30日まで。腰を据えて携わっているとの姿勢が伺え好感がもてる。

 

私の両隣が女性で、そういった機会はほとんどないのだが、彼女らの集中力が高く恐れ入った。音を立てずに静かに聴き入る姿勢であることはもちろんのこと、手を上にあげたりタイミングよく行う拍手の仕方など素晴らしかった。一緒に来ていた人とのおしゃべりからするとどうやら合唱団の知り合いらしい。こういう良客の輪が広がってほしい。

 

2017年8月20日 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団公演 ティアラこうとうから住吉駅へ通じる道の、公演後の様子。左側に猿江恩賜公園がある。
2017年8月20日 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団公演 ティアラこうとうから住吉駅へ通じる道の、公演後の様子。左側に猿江恩賜公園がある。

 

合唱団を含むアンコールがあるという良いサプライズがあったが、時間が経ってみると、驚くほどに本公演に対する思いや感情がない。

しかし、本公演当日の私のメモには『重く、温かく、ドラマチックな音』と書いてある。

それが何を意味するのか、今の私には分からない。

 

ティアラこうとう(東京・住吉)の概要

  • ティアラこうとう(東京・住吉)
  • 住所:〒135-0002 東京都江東区住吉2-28-36
  • アクセス:都営地下鉄新宿線・東京メトロ半蔵門線 住吉駅 A4出口より徒歩4分
  • 地図:【GoogleMap】https://goo.gl/maps/xsdqpcGmuvD2
  • サイト管理者:公益財団法人江東区文化コミュニティ財団
  • サイトアドレス:2017年9月7日現在(リンク設定後の連絡を求めているためリンクをしない)
    https://www.kcf.or.jp/tiara/

 

音楽会『真夏のレクイエム こうとう2017』の概要

  • 音楽会『真夏のレクイエム こうとう2017』
  • 日時:2017年8月20日 日曜日 15時-16時52分頃
  • 場所:ティアラこうとう 東京・住吉
  • プレコンサートあり
  • 演目1:モーツァルト『交響曲第38番 プラハ』
  • 演目2:モーツァルト『レクイエム』
  • アンコール:モーツァルト『アヴェ・ヴェルム・コルプス』
  • ソプラノ:盛田麻央
  • メゾソプラノ:金子美香
  • テノール:鈴木准
  • バリトン:友清崇
  • 合唱:ティアラこうとう真夏のレクイエム合唱団
  • 合唱指揮:四野見和敏
  • コンサートマスター:戸澤哲夫
  • 管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
  • 指揮:飯守泰次郎

本記事参考サイト:イベント情報|ティアラこうとう|公益財団法人江東区文化コミュニティ財団

  • 備考:『真夏のレクイエム こうとう2017』に関する演奏会の情報です。
  • サイト管理者:
  • サイトアドレス:2018年9月5日現在(リンク設定後の連絡を求めているためリンクをしない)
    https://www.kcf.or.jp/tiara/event/detail/?id=354
真夏のレクイエムこうとう2017のポスター:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、飯守泰次郎指揮『モーツァルト 交響曲第38番』『モーツァルト レクイエム』
真夏のレクイエムこうとう2017のポスター:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、飯守泰次郎指揮『モーツァルト 交響曲第38番』『モーツァルト レクイエム』

 

以上

  • 記事名:【飯守泰次郎】指揮・東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団『モーツァルト レクイエム』を聴いた 2017年夏
  • 記事更新日:2017年9月5日、2017年9月6日、2017年9月7日
  • 記事出典元:山上真オフィシャルサイト

【高関健】指揮・東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団『ベートーヴェン交響曲第3番』を聴いた 初めから涙あふれる 2017年冬

『ベートーヴェンと武満』公演

2017年1月13日 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団公演 東京オペラシティコンサートホール(東京・初台)チラシ
2017年1月13日 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団公演 東京オペラシティコンサートホール(東京・初台)チラシ

 

正月の雰囲気をホールで感じる

2017年1月13日 金曜日

本公演の会場である東京オペラシティコンサートホールの1階から3階までのすべての階に、和紙製の凧が多数、飾られていた。子供の頃、正月に毎年近所や多摩川で上げていた凧を見るのは久しぶりで嬉しい。おめでたい季節感があって良い。

これは、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の公式Twitterで写真を見ることができる。

 

客席の埋まり具合は5割ほど

新春であることを踏まえれば、5割ほどという客席の埋まり具合は余計に寂しい。ひどい。

その分、マナーの悪い客や体調不良の客(特に、口を抑えずに咳やくしゃみを遠慮なく、何度もする奴)が少なくなる、と考えればメリットだ。最近はそう思うようにしている。

ただし、満席またはそれに近い客数である場合の、オーケストラや指揮者の燃え具合、気合の入り具合と比較して、どちらが良いのかは即答できない。

 

最近では、1,500席から2,000席のホールの広さそのものが疑問に思えてきた。1,000席前後でよいのではないか。

 

私が座った席の場所のデメリット

私が座った本公演の席は、3階のR席前列。

これまでに求めた席は、1階または2,3階の正面席。初めて、東京オペラシティコンサートホールのサイド席に座ることになった。

その席からは、背もたれに背中を付けた普通の座り方をすると、指揮者の姿を見ることができない。ソリストも見えない。コンサートマスターは手すりの間からではあるが、表情を含めてよく見ることができる。

この席からは、ステージ向かって右側はまったく見えない。

隣の席に人が居なければ、身体の置き方次第で、指揮者やソリストを見ることができる。本公演で確認済み。

L席からであれば、普通の座り方でも指揮者やソリストは見えるかもしれない。

演奏の聞こえ方は、場所や料金などを踏まえれば、私にとっては問題なし。『心が動かされることはありえない場所だ』ということはない聞こえ方だ。

 

私は演奏中は原則として、指揮者を中心としてオーケストラを見ながら演奏を聴くため、正直に言えば、この席は厳しい。客の入り、チケットの売れ具合を事前に把握しながら、席を選べば、その点の心配を和らげられる可能性が高い。

なお、休憩時に現場で確認したところ、1階のA席(後方部。サイド部)は2階天井の下に席があるためその分暗くて開放感はないが、聞く分には問題がなさそうで、試す価値がありそう。

 

ホールでの服装、マスク

室内に入るわけだから、当然のことながら上着を脱ぐ。

そうすると本公演で私が着ていたのは、タートルネックのセーターの上に、カーディガンということになる。

ホールに入った時は、その格好でも良いと思っていたが、指揮者高関健によるプレトークが始まる前に暑いと感じたためカーディガンを脱いで、タートルネックのセーター(と肌着)のみで演奏会が終わるまで過ごしていた。問題なかった。

演奏会が終わって、21時前になっていたため外はとても寒いだろうと思い、ホールを出る前にカーディガンと上着を羽織り、マフラーをして外に出た。それでも寒かったのは仕方がない。

 

冬場に外に出る際は、そのままでは喉を痛めてしまうため、必ずマスクを着用する。他方で、メガネが曇ってどうしようもない場合や口周りが暑苦しくて仕方がない場合があるため、室内にいる際にはマスクを外すこともある。

本公演では、咳をあまり耳にしなかったことや、強く乾いた感じがしなかったため、マスクをはずして全公演を過ごした。それでも、その後に喉に悪い影響はなかった。

 

新宿ワシントンホテル本館あたりより見た、1月の17時半頃の東京都庁舎(東京・新宿)
新宿ワシントンホテル本館あたりより見た、1月13日17時半頃の東京都庁舎(東京・新宿)

 

案内係にお願いされても『2階、3階のサイド席で身を乗り出して聞く奴ら』に大きな顔はされたくない

公演開始直前と後半直前の2回、案内係が直接口頭でお願いをしているにも関わらず、2、3階に身を乗り出して聞いている奴(座席の背もたれに背をつけないで演奏を聞く方法)が数名いた。

特に、3階L席後列のステージ寄りにいた、黒ずくめでメガネを掛けた男。身を乗り出して聞いていた極めてふざけたやつだ。

周りに人が居ないからやっていいのだというのでは、下手をしたら何をやっても許されることになる。こういうやつが大きな顔をしてブログやFacebookやTwitterで「この公演は素晴らしかった」「席がスカスカでだめだ」「客を呼び込む工夫が欲しい」などと、仮に、したり顔で言っているならば、クラシック音楽会に足を運ぶ人は減る一方だと思う。言動不一致。

少なくとも私は、こんなふざけた奴の姿を目にするために音楽会に行く訳にはいかないから、今後、東京シティフィルの音楽会に行くかどうか、ためらいが出てしまうかもしれない。

係員が演奏中に、このふざけた奴の姿が見えていないとは考えられないのだがどうなのだろう。楽章の間に声を掛けてもらうわけにはいかないのだろうか(『現行犯』ではければシラを切られて、あるいは逆ギレされそうで、対応が難しいだろうと思われるため)。

 

そういえば、2015年5月の東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の飯守泰次郎指揮の『ブルックナー交響曲第8番』公演では、公演前に、ステージ横の3階サイド席から物をステージに落とした客がいた。

『ズドン』と鈍く、大きな音がして、その会場全体がなんとも言えない雰囲気になった。不幸中の幸いで、物が落ちた場所には人もいなければ、楽器も置かれていなかったが、人が居たら物が置かれていたら、どうなったのだろう。

その客は元の席に着席して演奏を聞いていたが、何を思って聞いていたのだろう。

何かあってからでは、遅い。

 

座席での振る舞い方、席を離れる際のあり方

本公演の休憩中の移動の際に、他の座席を見たら、盗まれたら自己責任のカバンやチラシが置いてあることはともかく、上着が雑に広げて座席に置かれていたことが不快だった。1席2席ではないところが余計に不快だ。

演奏中には、自分の隣の座席の上に上着を置いたり(2階L席の女)、カバンを置いたりする奴(P席の女。ステージの上の場所でありライトが当たっているから、すべての客が知ることのできる状況であった)がいたのも不快だった。

特に、P席は公演前から売り切れているのだから、カバンを置くぐらいだったらその席を他の人に譲ってあげればいいのに。その人はその席も買っているのかもしれないが、物置のための席ならば『音楽会』の意味がない。「チケットが1席でも売れるほうが、東京シティフィルにとっては良いでしょ!」と思っているのだろうか。それならば開き直りだ。

 

女性は特に、クロークを利用しない人が多いように見受ける。クロークに並んでいる人の7,8割は男のように思う。カバンはともかく、上着は預けてもいいでしょう。

座席の下に荷物を置くのであればともかく、自分の膝の上に荷物(カバンのみならず上着も)を演奏中に置き続ける人が多いのは一体どういうことなのか。寝る人もいるでしょうに。

 

『他人への寛容の精神を持つべきだ』と言う人がいるようだが、その荷物が膝の上から落ちた時の音の大きさで演奏そのものの良さを壊される可能性が高いことや(一人だけならともかく、1公演中に数度もそんなことがあると本当に嫌になって参ってしまう。何を聞きに来たんだっけ、荷物が落ちる音だっけ、幸せって何だっけとなる)、そのような嫌なことを思いながらハラハラしてその姿を目の当たりにして演奏を聞いていることが小さくないストレスであることは、『寛容の精神を』と言っている人が思っている以上に大きい。

目を瞑って聞こうが、目を見開いてステージ上のソリストやオーケストラ、指揮者の姿を見て聞こうが、個々の客の心のままにである。「目に入ってくる光景が邪魔ならば目を瞑って聞けばいい」などと思われたくもない。

 

正月の寒い時期としては、邪魔になる咳の音はあまりなかった

咳もあったが、許容範囲であった。鈴の音は1回したか。物が落ちた音やビニール袋の音はなかった。

相変わらず年寄りが多いこと多いこと。それでも咳が思っていたほどなかったのはありがたかった。マナーを守ろうとする人たち、人様に迷惑をかけてはいけないと思う人たちが多かった、と理解している。

 

指揮:高関健

高関健によるプレトーク

18時40分過ぎから18時52分まで

以下、覚えている限りで、話の一部の主旨を述べる。

冒頭、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の常任指揮者として「今年も多くのお客様に聴いていただきたい」と挨拶をすると、会場から拍手が起こった。

演奏会の全体の時間は長くはないが「奏者には大きな集中力が求められる2曲です。」

武満徹の『オリオンとプレアデス』は彼が海外留学中、初演を会場で聴いた(この件について、当方うろ覚え。会場で配布された演奏会の冊子には『初演は1894年5月(パリ、シャンゼリゼ劇場)、堤剛の独奏、尾高忠明指揮の東京フィルハーモニー交響楽団による』と記載されているため、彼が聴いた会場はドイツであろうか)。

「『英雄』は、楽譜のままに演奏します。第1楽章は繰り返します。」

「演奏が飽きられないようにしなければいけませんが、飽きたら寝てください」のところでプレトーク唯一の笑いが、客席から起こった。会場はリラックスしているように見受けられた。

 

演奏中の彼を見て

指揮者は『英雄』ではタクトなし。『オリオンとプレアデス』では、見づらい場所にいて見ていないので分からない。

やっぱり高関健の指揮の姿を見て、昭和のいる・こいるを思い出した。2016年3月の東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の『ドヴォルジャーク レクイエム』で彼の指揮の姿を見た時にも思ったこと。それでも演奏中は笑わないが、終わってから思い出し笑いをした。

 

公演関係者による、公演前の案内がどれだけ大切なことか

本公演に足を運ぶことは、予定していなかったこと。

年末年始にたまたま、ウィーンフィル・フルトヴェングラー指揮の『英雄』を聴いた。フルトヴェングラーは好みではないが(年代特有の録音状態の悪さの影響が大きい)、この演奏に心を動かされて『英雄』の生演奏を聴きたくなった。

 

それでも、他の演奏会や映画、展覧会に足を運ぼうかと思っていたところ、本公演に足を運ぶことを後押ししたのは、高関健の本公演前のTwitterであった。

『オリオンとプレアデス』への言及はなかったが、彼が考える『英雄』のあり方、指揮者としての姿勢や考えを垣間見ることができた。

それが実際に音になった時に音楽になり、それによって私の心が震えるのではないか、心が動かされるのではないか、と思った次第。その通りの素晴らしい公演だった。

結局、インターネット上で前売券を買ったのは、成人の日であった。

 

新宿ワシントンホテル本館あたりより見た、1月の21時頃の東京都庁舎方面(東京・新宿)
新宿ワシントンホテル本館あたりより見た、1月13日21時頃の東京都庁舎方面(東京・新宿)

 

武満徹『オリオンとプレアデス』

ソリスト:チェロ 宮田大

19時過ぎから19時41分まで(ソリストのアンコールを含む)

 

第1楽章すぐに涙が溢れた

初めて聴くこの曲。第1楽章すぐに、涙が溢れた。

聴けて良かったが、曲のメロディ、内容はまったく頭に残っていない。時間が立ったから後日に忘れてしまったのではなく、聴いた当日から記憶にない。

この曲は、CDやラジオではなく、演奏される現場で、生で聴いて曲の良さが分かる曲ではないのか。

 

ソリスト:チェロ宮田大

ソリストも初見、初聴。

チラシからも分かる顔の良さ。演奏中はとにかく動く。彼は演奏中に天を見上げたときもあった。

演奏の始まりと終わりは、笑顔であちらこちらに頭を下げる。毎年のように日本のオーケストラのいずれかでソリストとして招かれていることも納得がいく。コンサートマスターを始めとしてオーケストラも彼を笑顔で、拍手で賞賛していた。

今回が初めての演奏という、彼の『オリオンとプレアデス』をまた聴いてみたい。

ソリストアンコール:バッハ『無伴奏チェロ組曲1番 プレリュード』

 

コンサートマスターの演奏中の動き

コンサートマスターが目の動きや口の動きで、かなり細かく、向こう側のセクションに指示を出していた。ただし、本公演の私の座席からは会場の向かって右半分はまったく見えないため、どのセクションに指示を出していたのかは分からない。

うざったくもあったが、覚えている限りではこれだけの状況を見たことがなかったこともあり興味深く面白かった。なお『英雄』ではコンサートマスターのここまでの振る舞いは見られなかった。

 

息を吸うことで音がすることは分かるのだけれど

演奏の途中から、いびきのような呼吸の音がしていたことに気がついた。曲の静かな場面のときにその音がかぶさって嫌だった。同じ3階、同じ列の後ろ側のように思ったが結局分からず(その場所も、あまり人がいなかったが分からず)。

 

ベートーヴェン『交響曲第3番』

19時55分過ぎから20時51分まで(本公演解散まで)

 

最初の和音2つを聴いて、やっぱり今日は来て良かったと思った

良い音だ。「やっぱり」は既に『オリオンとプレアデス』で思ってはいたのだが、改めてそう思った。

第1楽章で涙が溢れた。これだ、これだと。ベートーヴェンってやっぱり良いなと。

第1楽章で聴いたことのない箇所がいくつもあった。はじめは感覚的にセカセカした早い演奏で、そのせいで合奏が合わない箇所、流されたような箇所があったように思われたが、それも問題なかった。

楽章間を続けて演奏することはなかった。この曲が4楽章から成り立っていることを意識させてもらって良かった。

 

フライングの拍手がないことは素敵だ

『ああ、もう演奏が終わってしまうのか』と最終盤に思う演奏会は、3カ月ぶり。アッという間の体感。やはり良いものは終わってほしくないものだ。

特に有名曲の『英雄』はフライングの拍手が出やすいと思っていたが(私が『英雄』を演奏会で聴くことは、今回が初めて)、指揮者の手が下がり切ることをすべての聴衆が見ていたかのように、まったくフライングはなかった。

その後の拍手も大きく、長く続いた。5割ほどの客しか居ないことが嘘であるかのように。

素晴らしい演奏だと思ったので、私もその中で拍手をし続けた。ティンパニに特に大きな拍手が送られていたように思うが、そうだと思う。

 

客もニコニコ、舞台上もニコニコ

舞台上の振る舞いを見る限りでは、常任指揮者とオーケストラの関係は、良好のようす。

指揮者はニコニコでオーケストラに拍手、拍手。演奏後の楽団員は無表情であるが、コンサートマスターはニコニコ。

コンサートマスターが一歩前に出て頭を下げて(入場時は、他の楽団員と一緒に出てきたので彼個人に対する拍手はなかった)、他の全楽団員が頭を下げて本公演が終わった後に、楽団員はニコニコと良い顔をして握手をし合っていた。その良い姿を、笑顔を客にも見せて欲しい。

心動かされた、良い演奏会だった。今もその思い。

帰りに見た月の美しさこの上ない。

 

新宿パークタワーで見上げた、雲に絡まる月(東京・新宿)
新宿パークタワーで見上げた、雲に絡まる月(東京・新宿)

 

音楽会『東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第303回定期演奏会』の概要

  • 音楽会『東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第303回定期演奏会』
  • 日時:2017年1月13日 金曜日 19時-20時51分頃
  • 場所:東京オペラシティコンサートホール 東京・初台
  • 演目1:武満徹『オリオンとプレアデス』
  • ソリストアンコール:バッハ『無伴奏チェロ組曲1番 プレリュード』
  • 演目2:ベートーヴェン『交響曲第3番 英雄』
  • チェロ:宮田大
  • コンサートマスター:松野弘明
  • 管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
  • 指揮:高関健

本記事参考サイト:【東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団】コンサート情報 第303回定期演奏会

  • 備考:『ベートーヴェンと武満』に関する演奏会の情報です。
  • サイト管理者:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
  • サイトアドレス:2017年6月26日現在
    http://www.cityphil.jp/concert/detail303.html
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団第303回定期演奏会パンプレット:高関健指揮『武満徹 オリオンとプレアデス』『ベートーヴェン 交響曲第3番』
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団第303回定期演奏会パンプレット:高関健指揮『武満徹 オリオンとプレアデス』『ベートーヴェン 交響曲第3番』

 

以上

  • 記事名:【高関健】指揮・東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団『ベートーヴェン交響曲第3番』を聴いた 初めから涙あふれる 2017年冬
  • 記事更新日:2017年1月15日、2017年1月16日、2017年1月29日、2017年6月26日
  • 記事出典元:山上真オフィシャルサイト

【飯守泰次郎】指揮・東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団『ブルックナー交響曲第9番』を聴いた 熱さは終わった後にもやって来る 2016年夏

ブルックナー交響曲ツィクルス最終回

眠くなってしまう『ブルックナー 交響曲第9番』

2016年7月5日 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団公演 東京オペラシティコンサートホール(東京・初台)チラシ
2016年7月5日 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団公演 東京オペラシティコンサートホール(東京・初台)チラシ

 

2016年7月5日の東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団第299回定期演奏会は、『ブルックナー交響曲ツィクルス 最終回』と銘打たれました。

このツィクルス(特定の作曲家の作品を連続して演奏する音楽会のこと。ドイツ語でZyklus。チクルスとも言う)は、飯守泰次郎が2011年、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の桂冠名誉指揮者に就任したことを機に、翌年の2012年より毎年1回行われてきたものです。第4、5、7,8番ときて、本年2016年に第9番でツィクルスの最終回を迎えました。

『最終回』が好きな私としては、なんとしても駆け付けなければならない演奏会ですが、始めは気が向きませんでした。何と言っても私は『ブルックナー 交響曲第9番』が好きではないからです。苦手です。

演奏会で聴くことは今回が初めてで、今まではCDやラジオなどで聞いていました。いつも眠くなってしまう。最後まで聴くことがなかなかできない曲であります。大好きな指揮者であるカルロ・マリア・ジュリーニのシカゴ交響楽団の『ブルックナー 交響曲第9番』のCDはテンポがチンタラして、ぬるくて聞かなければよかったと思ったぐらいです。

この曲の神々しさが私を遠ざけてしまうのでしょうか。

2015年の『ブルックナー 交響曲第8番』の演奏会はがっかりした

2015年5月9日 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団公演 東京オペラシティコンサートホール(東京・初台)チラシ
2015年5月9日 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団公演 東京オペラシティコンサートホール(東京・初台)チラシ

 

その上、前回2015年のツィクルスである『ブルックナー 交響曲第8番』の演奏会は、~行って損したとは思いませんでしたが~ がっかりしました。そのことも今回の演奏会を聴くか聞かないか一考した理由です。

1】 演奏が始まって10分もしないうちに、右隣の老夫婦は寝てしまいました。何しに来たの。

2】 開演直前に着席した、男は白髪、女は若く派手目な格好の、年齢差のある男女。女は香水の匂いがきつく、ただでさえ香水が苦手な私なのに困ったものです。その女は途中から寝ていました。男への付き合いだったのでしょう。演奏会をすっとぼけてやりたいことさっさとやればいいのに。

3】 この演奏会では私としては珍しく、1階の前の方の座席に座っていました。そのせいなのでしょうか、音の聞こえ方がいつもと違います。雰囲気が違います。このことががっかりした最大の理由のように思います。

この演奏会で初めて感じたことですが、音が指揮者を中心にして聞こえてくる。あれだけオーケストラの人数が多いのにオーケストラ全体から聞こえてこない。これは変だな、おかしい。

そのことを確信したのは演奏会の後なのですが、そう確信させてくれたのは、その演奏会の当日にもらった一つのパンフレットでした。『東京交響楽団音楽監督ジョナサン・ノット 2015年度シリーズ自身のプログラムを語る』に書かれていたものです。これだと思いました。

 

例えば、トランペットやクラリネット、オーボエの各首席奏者は一番大きな音で、2番奏者はちょっと弱く、3番奏者はさらに弱く…といった伝統的なヒエラルキー(階層構造)をきっちりと守って演奏しているので私はそのまったく逆を求めました。

~(略)~

弦楽器陣にも同様のことを言いました。私の周りを囲む掻く弦楽器の1列目に座る首席陣は元々音をリードしています。ですが実際に支えている音というのは後ろに座る奏者達が作っているものなのです。

~(略)~

演奏そのものがガラリと変わりました。

  • 発言者:ジョナサン・ノット(東京交響楽団音楽監督)
  • 引用元:東京交響楽団『東京交響楽団音楽監督ジョナサン・ノット 2015年度シリーズ 自身のプログラムを語る』
  • 上記の~(略)~は、本記事作者によるものである。

 

『伝統的なヒエラルキー』が、日本のオーケストラの常識であるとは知りませんでした。クラシック音楽の本場のヨーロッパでもそうなのでしょうか。

この件以来、弦楽器の後ろにまで目をやることが多くなりました。ほとんど力を入れずに軽く、気を抜いて弾いているように思える演奏会(東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団ではない)があり残念な思いをしました。

4】 私はといえば、交響曲第8番第1楽章の途中から飽きてしまい寝てしまいました。うつらうつらではなく、しっかり寝てしまった部分がありました。記憶が飛んでいます。

第3楽章の途中から目が覚めて気分が高揚し、第4楽章は良かったように記憶しています。最後の勢いと切れの良さ。それでも、この演奏会にはがっかりして、会場である東京オペラシティコンサートホールを後にしたことは今でも覚えています。

ただし、飯守泰次郎の『一般参賀』があったように記憶しています。

演奏会そしてブルックナーの良さを教えてくれた、2014年の『ブルックナー 交響曲第7番』の演奏会

2014年4月15日 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団公演 東京オペラシティコンサートホール(東京・初台)チラシ
2014年4月15日 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団公演 東京オペラシティコンサートホール(東京・初台)チラシ

 

しかし、このツィクルスの中の『ブルックナー 交響曲第7番』はとても良かったのです。この演奏会は私にとって大きな意味があります。

それよりも前からCDやラジオなどでクラシック音楽は聴いていましたが、クラシック音楽の演奏会に初めて足を運んだのは、2014年。今からたかだか2年前のことです。

この『ブルックナー 交響曲第7番』の演奏会が、生でクラシック音楽を聴いた2回目。その時に「やっぱり生の音は素晴らしい」「ブルックナーは素晴らしい」と思ったことが今へと続いています。

飯守泰次郎と東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団が生み出すブルックナーに、大いに心を動かされたのです。

その上、今回の『ブルックナー 交響曲第9番』の演奏会では、ブルックナーの『テ・デウム』が併せて演奏されます。演奏される機会があまりなく、ブルックナー自身が『交響曲第9番』とセットにして考えることも可能である旨を口にしたと伝えられる曲です。そして人の声が入る合唱曲であります。声の力は計り知れません。

そう思いましたら、今回の演奏会に大きな期待をもつことができました。それならと、2階の真ん中のブロックの席で聴こうと思い、チケットを予約したのが昨年2015年の12月でありました。

演奏会前の1週間ほどは、仕事の忙しさもありましたが、それは楽しみで仕方がありませんでした。

 

飯守泰次郎プレトーク 彼のピアノが聴きたくて

東京オペラシティ(東京・初台)2016年7月5日コンサート開演前
東京オペラシティ(東京・初台)2016年7月5日コンサート開演前

 

2016年7月5日19時の開演。それに先立つ18時25分よりの飯守泰次郎によるプレトーク。これは『ブルックナー交響曲ツィクルス』のお楽しみではないでしょうか。私は第7、8,9番の回に聞きました。

そうは言っても、進行役がそばにいてもだらだらと話す飯守泰次郎の独壇場ですから、聞かずに本番の演奏を聴こうと思ったこともあります。しかし、飯守泰次郎のあっけらかんとした解説とそれに伴うピアノが活き活きとして素晴らしく良いのです。彼のピアノが聴きたいのです。今回もたっぷり彼のピアノを聴くことができました。良かった。

いつもあっけらかんとした解説

最も印象に残っているのは、交響曲第9番第3楽章冒頭に関する解説について。彼は演奏会当日に配布されたパンフレットにこのように記しています。

 

完成された最後の楽章である第3楽章の冒頭は、ヴァイオリンがいきなり9度跳躍してすぐ短2度下がり、さらに1オクターブ落下するという、これはまさに現世の苦しみを表しており

  • 発言者:飯守泰次郎(東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団桂冠名誉指揮者)
  • 引用元:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団『第299回定期演奏会パンフレット ごあいさつ~ブルックナー交響曲ツィクルス最終回に寄せて~飯守泰次郎』

 

しかし、プレトークでは、この部分を差して『(極端に上がったり下がったりするのは)作曲家としては失格なんです』という主旨の発言をしていました。その発言の内容の過激さゆえ、また『飯守泰次郎のブルックナーが聴きたい』と期待する人が多くいる指揮者の発言であるがゆえ、思わず笑ってしまいました。

プレトークで印象に残っている、その他の話としては

  • 交響曲第9番の第1楽章と『ベートーヴェン 交響曲第9番第1楽章』との類似
  • 交響曲第9番第3楽章の終わりと『ブルックナー交響曲第7番第1楽章』との類似

があります。いずれも初めて聞いた話だと思っていましたが、手元にある『ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 指揮:ギュンター・ヴァント』によるCD『ブルックナー 交響曲第9番』の冊子にも書かれていました(解説:横原千史)。見たはずなのに、はよくありません。

 

ブルックナー『テ・デウム』

この曲は、この演奏会の前は、興味関心を持てない曲でした。曲の最後の最後で盛り上がりますが、それでも心は満たされません。

この曲は宗教曲ですから、信仰心のない私にとっては馴染めない曲であるということは否定することができません。また宗教曲であるがゆえに、人が曲に対して満足するも何もないだろう、神に対する賛歌なのだからという批判もあるでしょう。

それでも宗教曲であるがゆえの神々しさを期待して演奏会に臨みました。

宗教曲の前に聴衆はひれ伏さない 

残念ながら、演奏会の後も、取り立てて心を大きく動かされた訳ではありませんでした。その分、『テ・デウム』が『交響曲第9番』よりも先に演奏されて良かったと思いました。この曲で演奏会が終わられては白けてしまったでしょうから。

ただ、この曲の最中に嫌なことがあったことも、心を大きく動かされることのなかった理由であるかもしれません。日本人だからしかたがないのですが、全曲を通じて歌われる歌詞が分からないのです。だからパンフレットを見て歌詞を目で追う。その際に、パンフレットの開いたり閉じたりする音が耳障りなのです。それを右隣の爺が何度かしていた。パタンと閉じる音は小さくない音なのです。

また左2つ隣の男が身を乗り出したり、顔や頭を掻いて音を出したりと目障り、耳障り。大人しくできないのでしょうか。

2階の真ん中のブロックでは、以前もこれ以上に大きく嫌な思いをしましたので、今後は席を考えないといけないかもしれません。悔しい話です。

そういえば、ヴァイオリンの最後方の列の数人が、ヴァイオリンが演奏している最中、弾かないでいる場面が何度もありましたが、そういうものなのでしょうか。良い印象ではありませんので私の理解違いであって欲しいと願います。

宗教曲の前にフライングはない

それでも良かったと思うのは、フライングの拍手もなく、ましてやフライングのブラボーもなかったことです。演奏が確実に終わってから拍手が始まり、少し間があいてブラボー。その時間は素晴らしかったです。

また合唱団である東京シティ・フィル・コーアが舞台を降りる際に、彼らに対する拍手もありました。これも素晴らしいと思ったことです。他のプロオーケストラでの演奏会ではほとんど見られない光景ではないでしょうか。

『ブルックナー テ・デウム』については、この演奏会の後に見つけた、ウィーン・フィルのものが良いなと思いました。私は元々カラヤンが苦手なので、この演奏が良いと思った自分に驚きました。

本記事参考サイト:テ・デウム(ブルックナー)

  • サイト管理者:YouTube karajan 7
  • サイトアドレス:2016年8月16日現在
    https://youtu.be/IjGP9YqUGc4 (ユーザーにより削除された。2017年1月15日現在)

 

ブルックナー『交響曲第9番』

『ブルックナー テ・デウム』はそうは言っても、人の声が入る合唱曲ですからそれなりに心を動かされました。良い気分で『ブルックナー 交響曲第9番』に臨むことができたのは幸せなことでした。

この曲を聴いていますといつも眠くなってしまいますから、テンションが高いほうが最後まで眠くならずに聴くことができそうだと思いました。

首を傾げる場面はあっても『これだ、この音だ』

第1楽章の初めの方では、強い音、速いテンポで合奏する部分では、後ほど持ち直したとはいえ、ガチャガチャしていて首を傾げてしまいましたが、同じく第1楽章の美しい部分では ~CDなどですと冒頭から5,6分の部分、また20,21分の部分~ 、目頭が熱くなり、自然と天を見上げていました。東京オペラシティコンサートホールのガラス張りの天井からは暗闇の空を見ることができました。この部分はいつも目頭が熱くなるので、生の音でそうなっても不思議ではありませんが、とても良かったひと時です。

音が小さく弱い部分では特に金管セクションに対して首を傾げた部分もありましたが、だからといって音が強い部分では、単純にやかましいだけの音にならず、ぴったりと合って良い心持ちになりました。『これだ、この音だ』と喜びました。

第2楽章では、聴いたことのない音、合奏の部分が少なくとも2箇所はありました。聞いたことがない分おもしろいなと思い記憶に残っていたのですが、これはライブだからなのか、指揮者の意図なのか、楽譜通りの音なのか、『ブルックナー 交響曲第9番』に不真面目な私には分かりません。

温かく熱い演奏に私は眠ることなく最後を迎えた

この演奏会では、『ブルックナー テ・デウム』だけでなく、『ブルックナー 交響曲第9番』でも眠くなることがありませんでした。ましてや眠ることもしませんでした。楽しい時間を過ごすことができて、演奏へ集中することができたからだと思います。全体的にゆったりとしたテンポでしたが、緩んでいた、間延びしたとは思いません。不愉快にはならず、これで良い。

正直に言えば、この演奏に美しさを感じることはあまりありませんでした。また神々しさを感じることもありませんでした。私が感じたのは温かさであり、熱さ。その温かさ、熱さが何日も演奏会の良い余韻を残してくれたのではないか。

この演奏会に足を運んで本当に良かった。

今でも『ブルックナー 交響曲第9番』が ~特に第2楽章が~ 頭のなかをぐるぐると回っています。CDなどでも聴いています。これでこの曲の演奏会に足を運びたくなりました。

 

客の雰囲気、マナーが良い 演奏後に目頭が熱くなる

演奏会前半の『ブルックナー テ・デウム』の時と同じく、『ブルックナー 交響曲第9番』の時も、フライングの拍手もなく、ましてやフライングのブラボーもありませんでした。演奏が確実に終わってから拍手が始まり、しばらくしてからブラボーの嵐。それも良いと思いました。

すべてのセクションを順番に立たせ、弦楽セクションに握手を求めます。このような指揮者の振る舞いは好きです。ベラベラと喋られるのは困りものですが、オーケストラ全員へ感謝を示しまた聴衆に賞賛を求めることはおかしいものとは思いません。その中でも、個々の聴衆は拍手やブラボーを行うか否かの決定権をもっているのですから。『おかしい』『賞賛に値しない』のであれば拍手をしなければいいだけであります。

コンサートマスターが礼をし、一緒にすべての楽団員が礼をします。

楽団員の大部分が引き上げた後、10名以上の聴衆が舞台の下に集まり、ある程度の聴衆も席に残っていました。そんな中、飯守泰次郎は舞台に現れます。1回。ブラボー、拍手の嵐が渦を巻きます。コントラバスなどの舞台に残っていた楽団員も一緒に拍手をします。この演奏会であれば、納得することのできる光景です。『ツィクルスの最終回だから』という理由だけではないと思うのです。演奏が終わってから目頭が熱くなるとは思ってもみませんでした。

 

東京オペラシティ(東京・初台)2016年7月5日コンサート終演後
東京オペラシティ(東京・初台)2016年7月5日コンサート終演後

 

東京オペラシティコンサートホールのある初台駅から、20分以上かけて新宿駅へ徒歩で出ました。心持ちが良かった。歩いている間に、興奮と感動が沸き上がってきます。

飯守泰次郎の『ワーグナー』も聴きたくなってしまった、素晴らしい時間を喜んだ東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団によるブルックナー交響曲ツィクルス最終回、『ブルックナー テ・デウム』そして『ブルックナー 交響曲第9番』の演奏会でありました。

 

夜に窓の明かりが並ぶ新宿副都心(東京・新宿)
夜に窓の明かりが並ぶ新宿副都心(東京・新宿)

 

音楽会『東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第299回定期演奏会』の概要

  • 音楽会『東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第299回定期演奏会』
  • 日時:2016年7月5日 木曜日 19時-21時15分頃
  • 場所:東京オペラシティコンサートホール 東京・初台
  • ソプラノ:安井陽子
  • メゾ・ソプラノ:増田弥生
  • テノール:福井敬
  • テノール:清水那由太
  • 合唱:東京シティ・フィル・コーア
  • 合唱指揮:藤丸崇浩
  • コンサートマスター:戸澤哲夫
  • 管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
  • 指揮:飯守泰次郎

本記事参考サイト:【東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団】コンサート情報 第299回定期演奏会

  • 備考:ブルックナー交響曲ツィクルス最終回(テ・デウム、交響曲第9番)に関する演奏会の情報です。
  • サイト管理者:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
  • サイトアドレス:2017年1月14日現在
    http://www.cityphil.jp/concert/detail299.html

 

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団第299回定期演奏会パンプレット:飯守泰次郎指揮『ブルックナー テ・デウム』『ブルックナー 交響曲第9番』
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団第299回定期演奏会パンプレット:飯守泰次郎指揮『ブルックナー テ・デウム』『ブルックナー 交響曲第9番』

 

以上

  • 記事名:【飯守泰次郎】指揮・東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団『ブルックナー交響曲第9番』を聴いた 熱さは終わった後にもやって来る 2016年夏
  • 記事更新日:2016年7月10日、2016年7月11日、2016年7月14日、2016年8月16日、2017年1月15日
  • 記事出典元:山上真オフィシャルサイト